南青山アンティーク通りクリニック

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見えないもの(6編)

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第五十二話 忍び寄る影

令和八年九月ニ十五日(金曜日)


 その頃、クリニックにけたたましく電話が鳴った。
「彼女とのデート、楽しい?何しているのでしょう?」と聞こえてきた。

私は、
「これから片付けて帰る」と言い、電話を切った。
 十時を過ぎ、十一時にクリニックの片付けが終わり、クリニックのドアに鍵をかけ、階段を一歩ずつ降りた。  徒歩で帰宅。

 それから三分後。
 後ろから、忍び寄る影を感じた。車が近寄ってきた。
「そこの男性。免許証を見せていただけないでしょうか?」と四メートル道路の脇に車を止め、警察官がパトカーを降り、暗闇の中から出てきた。

私の免許書をみるやいなや
「あー、失礼いたしました。先生だったのですね。どうされましたか?こんな深夜に危ないですよ。もう午後十一時ですよ。あと一時間で明日になります」
私は、まさか将棋の中継を見ていたと言えない?
「それでは、お気をつけてお帰り下さい」で終わり、私を抜き去り、暗闇の中に消えていった。

 さらに三分後に、再び背後に車と人影。
 彼らは、シンデレラ通り、青山通り、骨董通りと一周してきて、私の後方に忍び寄った。
「先生、戻ってきました。明日、午後三時、よろしくお願いいたします。確認です」
「わかっていますよ。いつもの……」
「さっき思い出しました。どうもすいません」
「気にしなくていいですよ。明日お会いしましょう。クリニックでお待ちしています」

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