
その頃、クリニックにけたたましく電話が鳴った。
「彼女とのデート、楽しい?何しているのでしょう?」と聞こえてきた。
私は、
「これから片付けて帰る」と言い、電話を切った。
十時を過ぎ、十一時にクリニックの片付けが終わり、クリニックのドアに鍵をかけ、階段を一歩ずつ降りた。
徒歩で帰宅。
それから三分後。
後ろから、忍び寄る影を感じた。車が近寄ってきた。
「そこの男性。免許証を見せていただけないでしょうか?」と四メートル道路の脇に車を止め、警察官がパトカーを降り、暗闇の中から出てきた。
私の免許書をみるやいなや
「あー、失礼いたしました。先生だったのですね。どうされましたか?こんな深夜に危ないですよ。もう午後十一時ですよ。あと一時間で明日になります」
私は、まさか将棋の中継を見ていたと言えない?
「それでは、お気をつけてお帰り下さい」で終わり、私を抜き去り、暗闇の中に消えていった。
さらに三分後に、再び背後に車と人影。
彼らは、シンデレラ通り、青山通り、骨董通りと一周してきて、私の後方に忍び寄った。
「先生、戻ってきました。明日、午後三時、よろしくお願いいたします。確認です」
「わかっていますよ。いつもの……」
「さっき思い出しました。どうもすいません」
「気にしなくていいですよ。明日お会いしましょう。クリニックでお待ちしています」