
数分後に自宅に着く。
家族が飛び出してきた。表情は心配そうにしている。
「私は若い女性ではないから、大丈夫だよ」と言おうとした瞬間に、カウンターパンチを食らう。
「彼女のデート、楽しかった」と話しかけてきた。
ひと昔、
俺たちひょうきん族という懐かしの番組があった。
「冗談はよせ」という吉本の、知る人ぞ知る、ある有名な言葉で返したかった。
が、そういう元気はない。
すべての言葉は私の頭を通り過ぎた。
冷水のシャワーを浴びて、洗面所に立った。
自分の顔が、鏡に映った。少しだけ鏡を見た。生気がない。死人のような顔立ち。
後方で、笑いながら眺めている家族がいた。
その中間に犬が困った顔をして、両陣営のいずれにもかわいくしっぽを振っていた。
私につくべきか、家族と一緒に吠えるか、迷っていた。
関ヶ原の戦いの後の焼け野原。
子犬は、
「僕、どうしよう」と迷っていた。