南青山アンティーク通りクリニック

南青山アンティーク通りクリニック

南青山アンティーク通りクリニック

第二十六話 黒子という名の主役

令和七年六月二十七日(金曜日)


開門二時間前

 今から8年前、2017年スペインバルセロナ。
 街の中心に十万人近く観客を収容できるカンプノウ・スタジアムがある。

南青山アンティーク通りクリニック院長のブログイメージ
 試合開始二時間前に開門。
 その時点でスタジアム入口辺りは人で溢れかえり大混雑。

クラシコ

 世界最高峰のサッカーのクラシコ。
 バルセロナvsレアルマドリード。
 今では二度と観る事のできない、メッシ、クリスチアーノ・ロナウド、シャビなどの全盛期最後の競演。

神戸

 2018年ヴィッセル神戸にやって来る、イエニスタもそこにいた。
 ヴィッセル神戸のオーナー兼楽天○▲社長やヴィッセル神戸スタッフの姿をホテルロビーで見かけた。今から思えば、彼らは、イエニスタ獲得交渉のために、はるばる日本からバルセロナに来ていたのかもしれない?

意外な光景

 普通、主役はひとりか二人で十分…脇役の汗かき役は欠かせない…黒子役も絶対不可欠。
 偶然、<黒子>という表に出てこない人たちが視界の中に混じっていた。

黒のユニフォーム

 サッカーの審判は、ユニフォームは黒。
正真正銘の黒子役。

南青山アンティーク通りクリニック院長のブログイメージ
 ミスジャッジをすれば、SNSでやり玉。適切なレフリーをして当然とみなされるから、減点方式の世界で生きている。フォワードは決定機10回中9回はずしても、1回決め、1vs0で勝てばヒーローになれる。
 選手の一試合の走行距離は10km前後。審判もほぼ同じくらい走らないといけない

走り込み

 カンプノウ・スタジアムの指定席から席を外し、スタジアムの階段を下り、ピッチの眺めがよりいいポジションに移動した。
 試合が始まれば、当然して指定席に戻らないといけないが、開始前であれば、最前列付近まで移動可能。
 まもなく選手が次から次へ現れ、最高級のレベルの練習を始める。

南青山アンティーク通りクリニック院長のブログイメージ
 練習で100回中100回成功しても、本番の試合では成功しないこともある。
 全然緊張しているように見えない選手たちは、笑みを浮かべながら信じられないプレーを練習時から見せてくれる。

隠れて見えない主役

 それに以上に驚かされたのが、黒子役の三人の審判の動き。
三人の審判もグランドに現れて、軽いウオームアップをした後、軽いダッシュを始めた。
 審判のダッシュは徐々に勢いを増し、世界的に有名な選手の動きと大差ないレベルに近づいていく。
 

眼を奪われる

 黒子役という影に隠れた存在であり、滅多に表に出ない、試合前の練習風景に眼を奪われた。
 試合中に審判の動きに注目している人は皆無。

南青山アンティーク通りクリニック院長のブログイメージ
 彼らの動きはいつでも見ることができるが…ほとんどの人は試合を観に来ている。審判の動きに注意を向ける人はいない。

視点

 が、視点を変えて、脇役や黒子役の頑張り具合を眺めるのも一興。

見ていないようで見ている

 誰も見ていないようで見ていることが、世の中には多い。
 例えば、ある頑張り具合を観ていて、その人をヘッドハンティングするに至ったという話はよくある話。

レギュラー

 主役が脇役や黒子役に落とされることがある。
 サッカー、野球などのスポーツを例に取れば、非常にわかりやすい。
 絶対的な主役がレギュラーから外されたとき、腐らずにいつでもスタンバイOKの準備を怠っていないかどうか?を指揮官は秘かにじっと観察している。

南青山アンティーク通りクリニック院長のブログイメージ
 レギュラーが主役の座を外されたときに、その人の真価が問われる。

本領発揮

 逆に脇役や黒子役が主役になることもある。
 長嶋茂雄さんが現役時代。
大昔の巨人九連覇ではON、王選手と長嶋選手の両輪が主役。
 王選手が打てないときは、長嶋選手が大活躍。
 長嶋選手が打てないときは、王選手が打つ。

南青山アンティーク通りクリニック院長のブログイメージ
 完璧にONの二人を封じ込んでも、今度はON前後を打つ脇役や黒子役の出番。 ON封じに神経をすり減らし、脇役や黒子役が主役の大役を担う。

強さの秘密

 その当時の阪神タイガースの江夏投手が、自慢の剛速球で王選手や長嶋選手を完全に抑えても、二人の主役の<脇を固める黒子役>に足元を救われる。
 だからこそ、当時の巨人は桁外れに強かった…本当の強さの理由のひとつ。
 代替えが利く<脇を固める黒子役>の存在。 
 主役が活躍しなくてもその代役を担うことができる、本物の黒子役がいるかいないかの違いがとても大きな差。

区別がつかない

 昨今のサッカー日本代表も信じ難いほど強くなった…本物の主力と控え組の区別がつかない。


南青山アンティーク通りクリニック院長のブログイメージ

病院人事

 ○×病院の人事を、横から眺めているととても興味深い。
 そのトップが定年退職する数カ月前。
 次のトップの人事は、表向きは決まっていない…水面下の勝負。

脇を固める

 トキを図ったように、そのトップの人は、脇を固め始めた。
 おそらく予定通り。
 自分の意思を継いでくれる、現在のスタッフに加えて、脇を固める黒子役を、自分の後釜が決まる前に、次々と組閣入りさせた。

無言の圧力

 そのトップを外部から狙おうとする人たちへの無言の圧力。
 「ここには入って来れない…入って来るなら来てもいいですが」
 外部から舞い降りてくる落下傘の発動を諦めさせる。
 しかも、噛ませ犬まで用意して防御する。
 二重、三重にもロックをかける…事前の万全の準備を怠らない。
 その人は無事定年退官して、次の世代へバトンタッチ。

腑に落ちる

 素人の私が見ても、人事が絡む世界では、トップが決まってから、組閣づくりの駆け引きが行われる。
 もしかしたら数年前、それ以上に遡ると、その流れが腑に落ちる。
 議論が少ない日本人ならではの人事…議論して激しく闘う欧米諸国とは異なる。  

南青山アンティーク通りクリニック院長のブログイメージ

隠れた努力

 <脇役や黒子という名の主役>に関する話題は事欠かない。
 神輿に担がれた主役よりも、誰も見ていないところで地道な努力を繰り返している脇役に眼を向けるのも楽しい。